鷹林です。
この度、分担著書として、技術情報協会より「ラマン分光スペクトルデータ解析事例集」を出版しました。第8章第3節「ラマン分光法によるダイヤモンドライクカーボンの化学構造解析」を執筆しました。
私の研究では、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)という非晶質(アモルファス)炭素材料の成膜・化学構造解析・デバイス応用を行っています。DLCは、皆さんの身近で使われています。低摩擦製を活かした固体潤滑剤として、ハードディスクや金型への表面コーティングが有名です。近年では炭素質からの生体親和性を活かして、血管拡張ステントや歯科インプラントなどの生体内医療材料への表面コーティングが期待されています。
本書は、一連の研究の中の化学構造解析に該当します。化学なので、エネルギーコースの人達にはちょっと馴染みが薄いかもしれませんが、電気を使って材料創製をしています。
DLCの成膜は、プラズマを用いたプラズマCVDで行っています。プラズマは、放電を起こして生成させます。これは5年生と専攻科で学ぶので、縁がない人が多いと思います。しかしプラズマは強電分野だけでなく、トランジスタや集積回路を製造する弱電半導体プロセスには欠かせないものです。
なお本研究に関しては、ちょっと遡りますが、昨年11月に「公益財団法人吉田学術教育振興会」より、研究助成を受けました。有明高専としては、平成17 (2005)年度の現情報システムコース 原 武嗣先生以来16年振りの助成となります。